こんな方におすすめ
- 経理に配属されたけど監査対応ってなに?
- 監査対応って具体的に何をするの?
- 監査対応をするときのポイントがあれば教えてほしい!
こんな悩みを解決できる記事を用意しました!
この記事で紹介する「監査対応をするときのポイント」をご参考にすれば、経理実務に役立ちますよ!
なぜなら、監査法人の扱いを理解しておくことで、業務効率に差がでてくるからです。
上場企業・経理歴3年、税理士試験に合格した現役経理マンが紹介します。
記事前半では「そもそも監査対応とはなにか?」について、
後半では「監査対応をするときのポイントは?」について解説するので、
ぜひ参考にしてくださいね!
そもそも監査対応とはなにか?
そもそも監査対応ってなに?
経理初心者だと、そもそも監査って何?と思わるのが普通かと。
結論、監査とは、会社が作った財務諸表を監査法人にチェックしてもらうことです。
なぜなら、会社が自分で作った財務諸表は
- 株価を上げるために不正な処理をする
- 会社の経理担当の知識が不足していて、間違った数値で財務諸表を作成してしまう。
などの可能性もあり、信頼するのが難しいですよね。
特に、上場企業が間違った財務諸表を発表してしまうと、大勢の投資家の判断に影響が及んでしまいます。
そこで、監査法人に財務諸表をチェックしてもらうわけです。
監査法人....?
監査法人についても、確認しておきましょう。
結論からいうと、監査法人とは、公認会計士の人たちのことです。
彼らは、超難関試験に合格してきた人たちで、会計のプロと覚えておきましょう。
そもそも不正って発生するものなの?
結論、不正会計の発生は頻繁にあります。
例えば、
ベンチャー企業の一部の経営者は、会社を上場させたいために、無理な計画を立ててしまいます。
その計画を達成するために、会計基準に違反した会計処理で利益を多く計上してしまうわけです。
大企業でも、発展途上国などの海外子会社で不正が発生してしまうこともあるかと。
日本から海外をモニタリングするのってなかなか難しいですよね。
というわけで、不正会計が起こることは珍しいことではなく、身近なところに存在しています。
以下の東京商工リサーチの記事でも、毎年不正があることが分かりますよね。
2021年に不適切会計を開示した51件で、内容別では経理や会計処理ミスなどの「誤り」が24件(構成比47.0%)で最多だった。次いで、子会社で不適切会計処理などの「粉飾」が15件(同29.4%)、着服横領が12件(同23.5%)と続く。
産業別では、最多が製造業の17社(同33.3%)。以下、サービス業の16社(同31.3%)と続く。引用先 : 東京商工リサーチ
監査対応とは具体的に何をするのか?
じゃあ、監査対応って具体的に何をするの?
結論、監査法人対応とは
- 監査法人からの質問に答える
- 監査法人から要求された資料を提出する
の2つがあります。
具体的には、
- 決算数値についての質問を受ける
- 決算数値の根拠資料を提出する
- 新しい会計基準の適用について話し合う
- 内部統制についての質問を受ける
など。
つまり
- 会社の数値が会計基準に従って作成されているか?
- 会社の数値が社内のルールに従って作成されているか?
を第三者の視点からチェックしているわけです。
監査対応をするときのポイントは?
監査対応をするときのポイントを知りたい!
結論、監査対応をするときのポイントは、
- 重要性の原則を理解する
- 監査法人がどんな資料が欲しいか理解する
- 無理な依頼には、無理と答える
の3つです。
それでは、具体的に解説しますね。
【監査対応・ポイント①】重要性の原則を理解する
まず1つ目の監査対応のポイントは、重要性の原則を理解することです。
重要性の原則?
重要性の原則と聞いて、よく分からないと思うかたも多いかと。
結論からいうと、影響が小さければ、細かいことにこだわらないということです。
なぜなら、決算作業は、決算日から45日以内に終わらさなければなりません。
それなのに、1円合わなかったり、利益が100円おかしいことを、突き詰めてもしょうがないですよね。
つまり、重要性の原則とは、財務諸表を見た人が間違った判断をしない限りは、ある程度アバウトでいいということ。
他にも、
- 勘定科目を厳密に分けるのではなく、まとめて一個で表示する
- 複雑な会計処理を簡便的に行う
など。ある程度柔軟性があるわけです。
このルールを理解していないと、
- 1円合わないことに悩み続ける
- 複雑な会計処理をしてしまい、混乱してしまう
など。本来悩まなくてもいいことに、悩んでしまい、みなさんの生産性が落ちてしまう可能性もあるかと。
もちろん、預金や支払い業務などで1円まで合わせないといけない場合もあると思います。
とはいえ、連結決算や決算作業で監査対応をするときは、重要性の原則を理解したうえで対応するのがおススメです。
以下のmoneyforwardさんの重要性の原則の記事もご参考にしてみて下さい。
重要性の原則に記されていることの意味をまとめると、おおむね以下の内容です。
- 会計上の重要性に乏しい軽微なものは、本来の厳密な会計処理ではなく簡便に処理してかまわない。
- 重要性の低い取引に関して簡便な会計処理を行っても、それは正規の簿記の原則に違反したものとはならない。
つまり、重要性が低く全体に与える影響が少ないものは、原則通りでなくても簡易的な会計処理を行ってよいということが記されています。
【監査対応・ポイント②】監査法人がどんな資料が欲しいか理解する
2つ目の監査対応のポイントは、監査法人がどんな資料が欲しいかを理解するです。
なぜなら、依頼されたけど、何が欲しいのかが分からない!というパターンだと
やり取りが何回も発生してしまいますよね。
ポイントとしては、資料を提出するときは、網羅性を意識することです。
監査では、他にも『実在性』や『評価の妥当性』など、いろんな要点があります。
なかでも、資料のやり取りで重要になってくるのが『網羅性』です。
網羅性ってなに?
監査対応をしていないと、網羅性とういう言葉に馴染みがありませんよね。
例えば、監査法人から、仕訳テストをやりたいので、仕訳データを下さい!と言われたとします。
ただ単に、仕訳データを会計システムから出力して提出すればいいだけですが、
全ての仕訳データが提出できているか確認する必要がありますよね。
そんなときは、試算表の合計科目と仕訳データの合計額を照らし合わせて、数値が一致していれば、網羅性が確認できますよね。
逆に、数値が一致できていないと『網羅性が確認できません』と資料の再提出を依頼されてしまうわけです。
【監査対応・ポイント③】無理な依頼には、無理と答える
3つ目の監査対応のポイントは、無理な依頼には、無理と答えることです。
なぜなら、特にみなさんが対応する監査法人の担当者は、公認会計士になりたての新人のケースがほとんどかと。
したがって、実務を理解しておらず、時には存在しない資料などの無理な依頼をしてくるケースもしばしあります。
そんなときは、『その資料はありません。』と素直に答えましょう。
一番良くないのは、無理な依頼に答えようとして、時間だけが過ぎ、なにも提出できなかった時です。
最悪の場合は、決算スケジュールに影響も出てきてしまいます。
本当にその資料が必要ならば、他の資料で代用できないか検討してもらうのも一つの手ですね。
まとめ
以上、監査対応について解説しました。
まとめますと、
監査対応とは、決算を発表するために会社の財務諸表を監査法人にチェックしてもらうことです。
具体的には、
- 決算数値についての質問を受ける
- 決算数値の根拠資料を提出する
- 新しい会計基準の適用について話し合う
- 内部統制についての質問を受ける
などを行います。
監査対応のポイントとしては、
- 重要性の原則を理解する
- 監査法人がどんな資料が欲しいか理解する
- 無理な依頼には、無理と答える
の3つに注意することです。
みなさんの経理実務の参考になれば幸いです。