こんな方におすすめ
- 子会社管理業務って何?
- そもそも子会社管理業務が必要なのはなぜ?
- 子会社管理で大変なことは?
こんな悩みを解決できる記事を用意しました!
この記事で紹介する「子会社管理業務で大変なこと」をご参考にすれば、みなさんの経理ライフや転職活動の役に立ちますよ!
みなさん、最近の経理の求人で【子会社管理】という求人を多く見かけませんか?
実際にどんな業務なのか知りたいと思う方も多いはず!
そこで、子会社管理の業務をコア業務としては携わって筆者が、
外から見えずらい子会社管理のリアルな実務を解説しますね!
プライム企業の経理4年目、税理士試験に合格した現役経理マンが紹介します。
記事前半では「子会社管理業務が必要な理由」について、
後半では「子会社管理業務で大変なこと」について解説するので、ぜひ参考にしてくださいね!
子会社管理業務が必要な理由
そもそも子会社管理ってなに?
経理未経験者の方にとって、子会社管理って言葉は聞き慣れない言葉ですよね。
簿記の勉強で出てくるわけではないですし、どんな業務か気になりますよね。
結論からいうと、子会社管理とは、連結決算の対象となる会社の管理をすること。
管理するって何を管理するの?
子会社管理は、会計や税務面の他、業績面の管理もありますが、
1番重要なのは、『会計処理がきちんと行われているか?』です。
なぜなら、子会社の会計数値が正しくないと連結決算を締められません。
上場企業の場合は、年に4回決算を発表しなければいけないので、
定期的に子会社をモニタリングする必要があります。
もし、子会社できちんと会計処理が行われていないと、連結決算を締めることができない事態に。
なので、子会社管理の業務は決算を締めるためにも重要な役割になりますよ。
具体的にどんな確認をするの?
具体的には、
- グループで統一の会計処理を行っているか?
- 特殊な取引が発生していないか?
- 不正な処理をしていないか?
など、『会社処理が正しく行われているか?』の視点でモニタリングすることがメインになります。
子会社管理業務の需要が高まってきている理由
どうして、最近の求人では「子会社管理業務」が増えてきているの?
求人をみていて頻繁に「子会社管理業務」の記載に気付く人も多いですよね。
では、なぜ子会社管理業務の求人が増えているかというと、「M&Aや組織再編が増えいている」ためです。
実際に日本M&Aセンターの調べでもM&Aの件数が増えていることが分かりますね。
2021年のM&A件数は2020年に比べて14.7%増加し、4,280件(レコフデータ調べ)と2019年の4,088件を上回り、過去最多を記録しました。大きな要因は、コロナ禍によるM&Aの後倒しと金融緩和が考えられます。
どうして、M&Aが増えると「子会社管理業務」の需要が増えるの?
そもそもM&Aとは、会社を対象にした売買のこと。
当然買った側の会社は、その会社の管理をしなければなりませんよね。
とういうわけで、M&Aが増えたため、子会社管理業務も増えているのが今の経理の転職市場の状況かと。
もちろん、
- 子会社のガバナンスを管理する
- グループ全体の業務効率を改善する
など、いろんな理由もあると思います。
とはいえ、最近のM&Aブームが大きな要因になっているのは間違いないかと。
子会社管理業務の大変なこと
実際に子会社管理業務にチャレンジしてみたいな!
具体的にどんなことが大変?
実際にやりたい業務にチャレンジする前に、失敗や挫折しそうなことを事前に把握しておくことは超重要ですよね。
事前に準備できていた方が、困難を乗り越えられるもの。
ということで、子会社管理の業務の大変なこととして以下の3つを挙げてみました。
- 期限通りに数値をまとめるのが大変
- 子会社のマンパワーやノウハウが足りない
- 言語や文化の壁
それでは、1つずつ大変な理由を確認していきますね!
【子会社管理の大変なこと①】期限通りに数値をまとめるのが大変
まず、子会社管理の大変なことの1つ目は、期限通りに数値をまとめるのが大変なことです。
なぜなら、会社は決算を締めなければいけない期限が決まっているから。
とくに上場企業の場合は、年に4回、決算日から45日以内に決算を発表しないといけないルールがあります。
したがって、、子会社の数値を予定通りに吸い上げないと、
「決算発表日までに決算を発表できない!」
といった事態になりかねません。
もし、決算発表が遅れると会社の株価に悪い影響を与えてしまいます。
当然、投資家からすると「この会社大丈夫か?」と心配な気持ちになりますよね。
子会社は別会社ということもあって、地理的に離れていることが多いです。
なので、リモートでの意思疎通になるので、相手の状況が見えづらい。
また、子会社との少しの認識のズレで、間違った処理で数値が報告されることもあるので、
定期的にコミュニケーションを取ることは超重要ですよ。
【子会社管理の大変なこと②】子会社のマンパワーやノウハウが足りない
2つ目の子会社管理の大変なことは、「子会社でのマンパワーやノウハウが足りない」です。
なぜなら、子会社では、親会社側のように
- 人材が適切に配置されている
- 優秀な人材がそろっている
かというと、必ずしもそんなことはありません。
どちらかというと、子会社の担当者は経理業務以外の雑務も同時に行っている場合が多いので、
そもそも経理の業務に十分に時間を取れない
会計処理をきちんと理解していない
などの現実的な問題があります。
この問題は、「間違った数字を報告すること」や「期限内に数字を報告できない」など、
親会社からすると、痛いミスに繋がりかねません。
とういうわけで、子会社管理担当者は、
一緒に期限内に数字を報告できる仕組みを構築する
分からない点は、フォローを手厚くする
など、コンサルタントのように子会社を支援する必要があります。
【子会社管理の大変なこと③】言語や文化の壁
最後の子会社管理の大変なことは、「言語や文化の壁」です。
個人的には、この障害が子会社管理で一番大変なところかと。
なぜなら、今の時代、大企業でなくても海外に子会社がある企業がほとんどですよね。
そうなったときに必ずやっかいな問題になるのは、言語や文化の壁です。
少しボリュームが多くなるので、「言語」と「文化」の2つに分けて解説しますね。
【子会社管理の大変なこと③】言語の壁
まずは、言語の壁について。
言語の壁はみなさんイメージして頂けるかと。
もちろん企業によりきりですが、全ての海外拠点に日本人駐在者を配置できてる企業は少ないのではないでしょうか。
日本人を海外に出向させるとなると、
- 海外出向手当など、会社が負担する費用が高くなる
- 給与課税などの税務リスクがある
など、国を跨ぐだけで、いろんな問題が発生してしまいます。
また、日本人が海外に駐在したとしても、経理の面倒だけを見るということはほとんどないかと。
そうすると、現地スタッフに頑張ってもらう必要があるのですが、
英語が苦手な日本人にとっては、言語の壁が生まれてしまいますよね。
もちろん、海外子会社を管理するからには、ある程度の英語力がある人がアサインされるのが普通です。
とはいえ、大企業のように必ずしも英語力がある人員がそろっているわけではありません。
また、英語でのやりとり=ネイティブ英語とは限りません。
国によっては、独特な訛りやアクセントがあって、思うように聞き取れないことも(筆者の場合です。。。)
なので、お互い日本人ならすぐに解決できる問題も言語の壁があることで、問題解決に時間がかかることも多いです。
当然、こういった経験を積んで、実務で語学力を身につけることもできるという点はメリットですよ!
経理の英語力について気になる方は、以下の記事も参考にしてみて下さいね。
-
経理に英語力って必要?経理マンのリアルな英語力とは?
【子会社管理の大変なこと③】文化の壁
次に文化の壁。
これは海外経験がない筆者も実務を経験するまでは気付かなかったことです。
具体的にどんなことが文化の壁になるかというと、
- 就業時間の問題
- 現地スタッフの権力の問題
など。
例えば、日本だと残業するのが当たり前な国ですよね。
ご存じだと思いますが、国によっては残業する概念さえない地域もあります。
要するに、
「残業して対応して!」
といった日本の当たり前のような習慣が通用しません。
そんなわけで、スケジュール通りに資料が提出されなかったりするわけです。
また、海外に子会社を設立した場合の労働者のほとんどは現地にスタッフを募集するのがほとんどです。
とくに製造業の場合ですね。
そうすると、「現地スタッフを牛耳る現地のボス的な人」が現れるのが必然です。
もちろん、この現地のボスを日本の本社がコントロールできていればいいのですが。。。
中には、現地のボスと日本の本社の利害関係が合わず、コントロールしきれないのが現実的かと。
コントロールしきれないのが何に繋がるかというと、海外子会社の不正や横領の問題です。
最近は、海外子会社の不正会計は大企業でも対岸の火事ではないようです。
不正が発生したと回答した135社のうち、「国内子会社または海外子会社で不正が発生した」と回答した企業は61社(45%)にのぼりました。海外子会社で不正が発生したと回答した企業45社の発生地域はアジア地域54%、北米20%、欧州17%となっていました。
引用先: 不正事例に学ぶ( KPMGジャパン)
まとめ
以上、子会社管理業務について解説しました!
最近は、ご存知のようにグローバル化の影響によって海外進出が当たり前の時代。
大企業でなくても、海外子会社を持っている会社がほとんどかと。
したがって、子会社管理業務はより一層需要が高まってきているのも事実。
「いざ、子会社管理の経験を積む!」と転職をする前に、
ぜひ、上記の子会社管理の大変なことを確認してみて下さい。
事前に大変なことを知っておくことで、実際の実務で心が折れることを防げますよ!
みなさんの参考になれば幸いです。